相続人がいない（相続人不存在）の場合の相続手続き

亡くなった方の財産は、遺産として遺族に相続されるのが基本です。

法定相続人として認められる遺族は、以下の通りです。

• 配偶者
• 子
• 両親
• 兄弟姉妹

しかし相続権を持つ遺族がいないというケースも考えられます。

相続人がいないケースを「相続人不存在」といいますが相続人不存在の場合、遺産はどうなるのでしょうか。

本稿で解説していきましょう。

相続人不存在の場合の相続手続き

相続人不存在の場合に遺産がどうなるのか。

いくつかのケースが考えられますので、ケース別に解説していきます。

遺言書に遺贈の意思が記されている場合

亡くなった方が生前遺言書を遺しており、その遺言書に遺贈の意思が示されている場合、亡くなった方の意思に従い遺産は遺贈されます。

遺贈する相手に関しては個人、法人、団体などを問いません。

たとえば特定の団体や自治体への寄付を希望する場合、もしくは特定の個人に遺したい場合などは、しっかりと遺言書を遺しておく必要があります。

特別縁故者がいる場合

法定相続人ではないものの、亡くなった方と特別な関係性があった方は、特別縁故者といて相続権が認められるケースがあります。

たとえば法的には相続権を持たない、内縁の妻などは特別縁故者といえるでしょう。

特別縁故者がいるケースでは、特別縁故者自身が家庭裁判所に申し立てを行い、家庭裁判所が財産分与をするか否か、財産分与する場合どの程度の金額が適正かを判断します。

特別縁故者として財産分与の申し立てを行うためには、その前に相続財産清算人の選任や相続人捜索などの手順がありますので、その手順を理解しておくことが重要です。

どちらもいない場合遺産は国庫に帰属する

遺言書がなく特別縁故者もいない場合、相続人不存在の遺産は国庫に帰属されます。

また特別縁故者がおり財産分与が行われたケースや、債権者への返済を行ったケースでも遺産が残れば残った分も国庫に帰属します。

まとめ

相続人不存在の遺産に関しては、遺言書や特別縁故者の有無でその後の処理が変わります。

自身に法定相続人がいることが分かっているという方で、遺産の贈与に対して自身の考えがある場合は、遺言書として遺しておきましょう。

また、自身が亡くなった方の特別縁故者であるという場合は、どのような手続きで遺産分与の申し立てを行うかを知っておく必要があります。

いずれの場合も一定以上の法的知識が必要で、自身で判断するのが難しいケースも多いため、弁護士に相談するのがおすすめです。