内縁の妻へ相続する方法はある?具体的な方法や注意点など解説
◆内縁とは
内縁とは、婚姻届を出していないものの、事実上の夫婦と同様の状態で共同生活を営む意思がある状態をいいます。
婚姻届が提出されていない以上、内縁の妻に内縁の夫の遺産を相続する権利は発生しません。
しかしながら、内縁の妻に財産を承継する方法はいくつか存在します。
当サイトではそれらの方法を詳しく紹介していきたいと思います。
◆内縁の妻に財産を承継する方法
①生前贈与
内縁の妻に何かしらの財産を遺したい場合には、生前に財産を贈与するという方法が考えられます。
ただし、税務上、贈与契約の非課税枠というものが設けられており、その枠は贈与する財産の上限が年間110万円までとされています。
そのため、非課税枠を活用して長期的に贈与に取り組むことがポイントとなります。
②遺言書による遺贈
遺言書に内縁の妻に財産を譲渡する旨の記載をすることで、遺産を遺すことができます。
また、贈与の場合とは異なり、相続税の適用対象となります。そのため、遺贈の対象となる財産が高額である場合、節税にもつながります。
遺言書にはさまざまな方式がありますが、ここでは解説を省かせていただきます。
③生命保険を活用する
生命保険金の受取人に内縁の妻を指定することが可能となっているため、指定により内縁の妻に一定の財産を遺すことができます。
内縁の妻が受け取った保険金は相続税の課税対象となります。
④内縁関係でも主張できる契約を活用する
内縁関係であっても、特定の契約については、権利を主張することができます。
・賃貸借契約
相続人がいない場合、内縁の妻は、賃借人の権利を承継したと主張することができます(借地借家法36条1項)。
また判例によると、相続人がいる場合でも、内縁の妻は家屋に居住することが可能です。
・遺族年金
遺族年金は内縁関係の場合でも受給することが可能となっています。
⑤特別縁故者として遺産を受け取る
被相続人に相続人が1人もいない場合には、財産は原則として国庫に帰属することになりますが、内縁の妻が家庭裁判所で「特別縁故者」の手続きによって、遺産の全部または一部を受け取ることができる可能性があります。
◆内縁者への財産の承継での注意点
内縁者への財産承継のうち、生前贈与以外の方法は、事実婚の状態であることの証明が必要になることが考えられます。
事実婚の証明方法として、もっとも簡易的なものが住民票です。
役場に行き、事実婚であることを住民票に反映するように届け出ると、同一世帯で住民票の続柄に「妻(未届)」と記載がされます。
これにより、事実婚の状態であることが確認できます。
◆相続法改正と内縁関係への影響
2020年4月から相続法の改正によって、配偶者居住権というものが施行されました。
配偶者居住権とは、相続が発生した際、配偶者が自宅の所有権を取得しなかった場合であっても、一定の要件のもとで、自宅に住み続けることができるという制度です。
この配偶者居住権が内縁関係にも適用されるかが重要なポイントとなります。
結論からすると、過去の判例で内縁の妻に居住権を認めるものがあったため、配偶者居住権が内縁関係にも適用される余地はあります。
しかしながら、上記の通り相続法改正は2020年4月以降となっているので、それ以降の判例がなく、今後どのように裁判所が判断するかがまだわかりません。
したがって、しっかりと上記の承継方法を利用しておくことをお勧めいたします。
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- 経歴
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- 東京都出身
- 中央大学法学部卒業
- 平成5年4月 弁護士登録
- 平成9年3月 梅ヶ枝町法律事務所開設
- 保有資格
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- CFP®(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®)
- 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
- M&Aシニアエキスパート
- マンション管理士
- 所属
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